―8月のかながわ子ども・子育て支援月間では、夏休みを利用した中・高校生の子育て(支援)体験の催しが県内各地で開催されました。そのひとつ、NPO法人はぐはぐ主催「高校生とキッズのふれあい運動会」(2010年8月25日)の様子をご紹介します。
寒川町にある南部文化福祉会館の体育館に乳幼児や小学生が28人、そして高校生が24人(内男子学生1名)集まりました。実はこの運動会、保育基礎講習や助産院・小児科などで研修を受けてきた『高校生の保育体験』講座最終回の実践研修の場。
ちょっと緊張気味だった高校生もこれまでの研修で顔を合わせたことのある子どもから「お姉さ~ん!」と声をかけられて嬉しそう。はじめて顔を合わす子どもも高校生のお兄さん・お姉さんにすぐに馴染んで、お膝に座ったり、おんぶしてもらったり。
さすが研修を受けてきた高校生だけあって、子どもと遊ぶのが上手です。
誰がどの子を担当、というのは特に決めていない中、自然と子どもと高校生のペアができて、おんぶレースや玉入れ、パラシュート遊びなどを一緒に楽しんでいました。
パン食い競争もあって高校生も童心にかえったようです。
参加した高校生「この運動会方式がとっても楽しかった。一緒に競技に参加することで自分のすることもわかりやすく、子どもと自然と触れ合うことができました!」とのこと。
―今時の!?高校生に聞く①「参加のきっかけ」
◆学校内の掲示を見て興味を持ちました。
◆昨年参加した友達からの誘いを受けました。まだ私は将来何になりたいか漠然としか考えていないので、何かのきっかけになればと思っています。
◆子どもが好きで、将来保育士になりたいと考えているので参加しました。
―今時の!?高校生に聞く②「子ども・子育てについて思うこと」
◆私には歳の離れた小さい妹がいます。赤ちゃんのお世話は大変でつらい時もあるけど、「あ!こんなことできるようになった!」という瞬間に立ち会えることに喜びを感じます。
◆子どもたちは素直に反応をしてくれます。そこがうれしいです。
◆子どもに何を話していいのかわからなくて、特に言葉が話せない小さな子にはどう接していいかわからずコミュニケーションのとり方が難しいと感じましたが、ちょっとした瞬間に笑ってくれるととてもうれしいです。
◆子どもといっても一人ひとり違うんだなーと実感しました。
◆子育てって大変。お母さんになるって大変なことなんだって思いました。でも、私も将来自分の子どもがほしいです。
会場では、保育士を目指して勉強中の地元・寒川町の大学生2人もスタッフとして大活躍。
彼女たちは最初の保育基礎講習の際に実技指導として手遊びを高校生に教えました。
「少し目上の大学生が教えたほうが高校生にとって親近感があるようです。また、私たちスタッフも新しい手遊びなどを知るよい機会です。」とNPO法人はぐはぐ代表の三澤さん。
―参加した大学生のコメント
「大学(横浜市内)周辺で子育て支援をお手伝いする機会はあるのですが、自分が育ち暮らしているこの寒川町でもそういう機会を持ちたいと思っていました。
事業に参加して、ふだん関わることのない人、たとえば助産院や近所の人、高校生たちと会うことができ、地域にいろいろな人の手があることを知る機会にもなり、地元の人とつながりができて、とても心強い気持ちになりました。」
「私たちよりも高校生の方が子どもと自然に話をしている感じを受けることもありました。」
―親子で参加の1歳児のママのコメント
「日ごろ高校生と接することはありませんが、今日の高校生はとても子どもに慣れている感じがして、子どもと遊ぼう!という姿勢が伝わってきました。」
―今年で3年目になるこの事業。三澤さんはこう語ります。
「高校生が安全に保育体験できるよう、保育の基礎講座、助産院、小児科医院での研修を受けた上で、サロン及び一時保育で体験をしてきました。
最初の基礎講座で実技演習(表現・手遊び・リズム遊びなど)を取り入れることで、高校生が楽しく、また、乳幼児に自信を持って積極的にかかわることができました。
それから助産院で生まれたばかりの赤ちゃんに出会い、小児科医院で乳児の健康診断時のお手伝いをすることで、赤ちゃんの発達度合いを実感することができます。
また、今回の運動会形式は始めてでしたが、皆がとっても楽しく参加できたようで大成功。嬉しいです。」
―最後に、三澤さんから、高校生へメッセージ。
「たくさんの小さな子達の耀きに出会えたとき、大学生、高校生の皆さんもきらめいていました。いのちを生みだす事・育てることの尊さ、いのちを繋ぐこと・守ることの大切さなどを学び、生きてることの素晴らしさを感じ取ってくれればと思っています。近い将来、仕事でまた家庭をもってからの自らの子育てにつまずきそうなとき、このときの想いを引き出してください。」
[参加高校の紹介]
神奈川県立寒川高校のみなさん
寒川高校のいいところ「自然豊か」「購買のマフィンがおいしい」
[主催団体紹介]
NPO法人はぐはぐのみなさん
子育てを頑張っている若いお母さん・お父さんを応援しようと、2007年に立ち上げ、一時保育や、子サロン、親子サロン、母親サロンなどの広場的事業を実施。
―代表三澤米子さんのこぼれ話
三澤さんは、57歳で大学(児童学部こども心理学科)に入学。入学式で若い学生に混じって起立したところ、「保護者の方は起立しなくていいです。」と言われてしまったそうです。
「外国語と情報処理には苦労しましたが、その他の授業はどれも充実して、楽しく、宝のような時間でした。」と三澤さん。大学生時代に身につけたパソコンスキルはその後も活用中とのことです。