葉山で学んだ「子育てはおたがいさま!」

youchien

<<「伝えたい」から広がった世界の続きです)
―現在は葉山で子育てをされながら、一方で活動の幅も広げられていますね。

葉山は、海も山も近くて、おおらかに生活を楽しんでいる方が多く、独特の「葉山時間」が流れている気がします。子どもにとっても、自然がすぐそばにあるいい環境ですよね。
私も主人も東京で仕事をしており、通勤ということを考えると遠いのですが、その長い移動時間がスイッチの切り替えにもなり、いいペースで生活できています。

今、地元の親子を対象にした、「海のようちえん」という活動を仲間と家族ぐるみでやっています。海を舞台に、クリエイティブユニットを招いて造形をしたり、音楽家と一緒に波の音も音楽にとりいれて太鼓をたたいたり、自然の中で子どもたちの自由な創造力をのばすことを目的にしています。学校と家以外の子どもの居場所が減っている現在、「いつもの仲間がいる居場所」をつくりたいという思いから始めました。
チャリティーについては、もともとホワイトリボン活動という途上国の妊産婦の死亡率を減らすための草の根運動に携わっていたのですが、東北6県で広げようとした矢先に3月の震災がありました。そこから自然な流れで、東北支援も始めたのです。国連が女性キットを配布した際に、メッセージ入りのアロマカードを同封したり、暑い夏にはアロマをふきつけたうちわを製作して、チャリティー販売をしたりしました。そうやって、自分のできることで少しでも何かお役にたてたら、という思いで関わっています。

―今後やっていきたいことは何ですか?

さきほど言ったように、アロマトリートメントの活動を再開したいというのがありますが、他には、「そこにアロマがあったら少しよくなるのではないかな」というところにアロマをもっていく仕事をもっともっとしたいですね。2009年からクラシックコンサートにアロマを導入していますが、2012年は能舞台や美術館にアロマを添える企画がスタートします。
アロマにより緊張がほぐれたり、イメージが膨らんだりするような空間演出を手がけたいですね。アロマ屋は黒子なので、どこにでも行きます(笑)
ただ、匂いの好みは人それぞれだし、思い出に結び付いているものでもあり、非常に気をつかったり、悩ましいことも多い。でも人の感覚という、いわば「生もの」にふれている仕事だからこその悩みなので、その部分を大事にしてやっていかないとと気をひきしめています。娘の匂いもいっぱい嗅いでね(笑)
娘が今、赤ちゃんが来るのを楽しみにしているんですよ。あらたな家族を迎えての暮らしも大事にしたいと思います。

―それでは最後にポジティブメッセージをお願いします。

「おたがいさま」という言葉が好きです。本当に1人では子どもは育てられてない。
地域で、みんなで子育てするという気持ち、そういうゆとりが大事ですよね。
今、娘は保育園に通っているのですが、働いているママ同士だから、誰かが困っているときに役に立てるのが、お互い本当にうれしいのです。たまたまそれが役に立てるタイミングじゃないと、何とかしてあげたい気持ちがあってもできないですから。
たとえば、わが家が海に行くときに「一緒に連れて行くよ~」と他のママに声をかけますよね。「ありがとう!」と言ってくれますが、海は危ない場所でもあるので、信頼してくれているからこそ預けてくれるのもわかる。お互いの思いやりの上での「頼るのもおたがいさま、ありがとうもおたがいさま」。そういう関係がすごく好きです。
他にも、保育園でおなじクラスのお子さんのおばあちゃんが、出産のときには、主人が仕事から戻ってくるまでの間、娘を預かるよと声をかけてくれました。ご自分も仕事があるのに、「困ったときはおたがいさまだから大丈夫!」ってね。そんな葉山ママ、葉山ばあばの「おたがいさま」の心は保育園だけに限りません。みなさんがリラックスしながら生活を楽しんでいるこの地域に支えられて、子育てができる幸せを感じています。
これからもここ葉山から、「おたがいさま」の心で、自分がアロマを通じてできることを考え、発信し、伝えあっていけたらいいなと思っています。

―ありがとうございました。

———————–プロフィール———————————————————
大橋マキ(おおはし まき)
2001年、フジテレビアナウンサーを退職後、英国に留学。植物療法を学ぶ。IFA認定アロマセラピスト。
7年間、アロマセラピストとして病院で活動後、現在はオリジナルブレンドアロマ「aromamora」をプロデュース。アロマ空間デザイナーとして、イベント、コンサート、ショップなどで、香りのある空間づくりに取り組むほか、チャリティー活動にも力を入れている。
2011年12月に第2子が誕生予定(取材時)。
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